新しい年が始まった。だからと言って、何かがすぐに変わるわけでもない。今年も俺は部活を頑張る。去年と一緒だ。
冬休み中も部活はあるため、俺はいつも通りに部室に入り、準備を終えた。そこに、同じくマネージャーとしての準備を終えたも来た。
「あぁ、部室暖かい・・・!生き返る〜・・・。日吉、おはよー!もう着替え終わった?入っていい?」
「あぁ。」
「ありがとー。それと・・・明けましておめでとうございます。今年もよろしくね!」
「おめでとう。・・・こちらこそ。」
部活に来るのが早いのは、俺と。それも変わらない。そして・・・俺が1番会いたかったのはだということも変わらない。・・・・・・そんな俺の気持ちに全く気付いていないも、残念ながら去年と同じようだ。
だが、その変わらない関係に甘んじているのは、俺の方かもしれない。いつも俺は、踏み出したくても踏み出せないでいるから・・・。
「日吉は初夢見た??」
「・・・いや、覚えてないな。そう言うは?」
「あのさ、日吉。一富士二鷹三茄子って、夢に出てくると縁起が良いって言われるけど・・・・・・。青学の不二さんと河村さんでも良いと思わない??」
「はぁ?」
「だって、河村さんは『タカさん』って呼ばれてるでしょ?だから、一不二さん、二河村さん・・・で良くない??」
「いいわけないだろ。」
「やっぱり?でも、このお二人なら、私の初夢に出てきてくださったんだけどなぁー。」
とは言え、こんなことを言うも悪いとは思わないか?俺だって、何もしていないわけじゃない。たまには、自分の気持ちを伝えるような振る舞いをしているつもりだ。それに全く気付きもしないで、呑気に他の男の名前を出すにも非があると思う。しかも、今回は夢の話。夢に出てくるぐらい、がその人たちについて考えているということだろう。・・・気分がいいわけない。
「そうかよ。」
「日吉・・・?呆れてる??もちろん、冗談だって!それに、縁起物なんかじゃなくたって、不二さんや河村さんに出てきていただいたことが私は嬉しいしね。」
「それは良かったな。」
「うん!」
・・・そんなフォローされても、何も嬉しくねぇんだよ。そう思って、こっちはまだ呆れているというのに、はもうすっかり大丈夫だと思っているらしい。また機嫌よく夢の話をし始めた。・・・・・・本当、疲れるな・・・。
「不二さんと河村さんだけじゃなくて、青学の皆さんと氷帝のみんなも出たんだよ!で、青学と氷帝で一緒に遊びに行ったの。すっごく楽しかったー!」
氷帝のみんなというのは、俺も入っているのだろう。それを聞いて、少し安心してしまった俺は、相当単純だ・・・。
「皆さんが楽しそうにしてて・・・。で、それを眺めてるのが楽しくて・・・。私と日吉は・・・・・・・・・。」
そこまで言って、なぜかが黙り込んだ。・・・俺の名前を出しておいて止めるなよ。
「俺と、何なんだよ?」
「何でも・・・!って言うか、夢って誰かに話すと、実現しないって言うでしょ?だから、もう言わない!」
「そこまで言ったんだから、もう関係ないだろ。」
「そうだとしても、言わないの!」
は向きになって、そう言った。そんなの態度を見て、夢の内容が気にならないわけはない。それに、自分の名前を出されてるんだ。聞いておくべきだろう。
「そこまで実現させたいと思ってるなら、一層俺に言った方がいいんじゃないのか?どうやら、その夢には俺も出てきているみたいだからな。俺に話せば、俺が叶えてやれるかもしれないだろ?」
「か、叶えなくていいよ・・・!!」
明らかに矛盾した発言をしたの顔は、かなり赤かった。今、俺たちがいるのは寒い室外でもなければ、暑すぎる室内でもない。ってことは、その原因は温度ではないということだ。
「なに、赤くなってんだよ。」
「な・・・なってないし!」
「なってる。」
「もう、放っておいてってば〜・・・!」
「言えないような夢だったのか?」
「違うよ・・・!」
「じゃあ、話してみろよ。」
「・・・・・・それは、できない・・・。だって、言ったら叶わないかもしれないから。」
「だから、話してくれれば叶えてやるって言ってるだろ?」
「無理だって!」
無理だと言われ、俺は少し頭にきた。がどういう気持ちで、その言葉を発したのかはわからない。だが、俺はお前のためなら何でもやってやりたいと思う。それでも、無理だと言うのか?
「俺にできないことなのか?」
「できなくはないだろうけど・・・・・・そういう問題じゃないんだよ。」
の微妙な態度。・・・ここが踏み出すときなのだろうか?今日こそ、何かを変えなければならないのだろうか?
そうだな・・・。新年早々、自分の意を決することは、良いことだろう。そう思い、俺も覚悟を決めた。
「。俺はお前の願いを叶えてやりたい。だから、俺にできることなら言ってくれ。」
「日吉・・・。」
「俺は、お前に・・・少しでも幸せを感じてほしいと思ってる。・・・・・・・・・俺は・・・お前のことが好きなんだ。」
これで、何かは変わるだろう。俺自身、こんなことを言えたのは、成長したと考えていいはずだ。その結果が良いか悪いかは別として。
「・・・・・・その夢で、私は青学と氷帝のみんなを見てた。でも、私と日吉だけは、その輪に入っていなかったの。私たちは後ろから、みんなを見てた。『みんな楽しそうで良かった』って話しながら・・・。そしたら・・・、日吉が・・・みんなにバレない内に、こっそりと私を抱き締めて、『今度は2人でどこかに行こう』と言ってくれた。」
それがの実現したかった初夢。俺に話してくれたということは、さすがにも俺の気持ちをわかってくれたということか。・・・ありがとう、。
「細部までは再現できないが・・・。」
そう言いながら、俺はを自分の近くに引き寄せ、そのまま抱き締めた。
「。今度、2人でどこかに行こう。」
「うん・・・ありがとう・・・!」
顔は見えないが、嬉しそうなの声が聞こえた。それを聞いて、今年は良い年になるな、なんてことを思ってしまった俺は、やはり去年から何一つ変わっていないんだろう。そう、俺は変わらず、お前を――。
新年らしい夢を書いてみました!でも、急いで書いたので、短め・・・と言うか雑と言うか・・・(汗)。すみません・・・orz
とりあえず、今年も我がサイトは、こんな感じで夢小説を中心に取り組んでいきたいと思っております!
拙劣きわまる作品ばかりではございますが、日々精進して参りたいと存じますので、どうか今後ともよろしくお願いいたしますっ!!
('09/01/04)